2025年4月現在、日本における家計の金融資産は大きく二極化が進んでいると言われています。
実際、私たちがどのくらいの資産を持っていて、それが全体の中でどの位置にあるのか――明確に把握している人は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、野村総合研究所(NRI)が2年ごとに発表している「純金融資産保有額別世帯分類」をベースに、日本人の資産分布の現状をわかりやすく整理。さらに、マス層から“ひとつ上の層”に上がるための現実的なステップについてもご紹介します。
目次
そもそも「純金融資産」とは?
純金融資産とは、預貯金、株式、投資信託、保険などの金融資産から、住宅ローンなどの負債を差し引いた金額のこと。つまり、「借金を返したうえで手元に残る現金・有価証券などの合計」です。
不動産は含まれません。あくまで“お金として使える資産”の規模で分けられます。
5つに分類される資産階層(2025年2月発表最新版)
野村総合研究所では、以下のように分類しています(※全国約5,570万世帯を対象とした世帯ベースの推計)。
• マス層:純金融資産 3,000万円未満(約4,424.7万世帯、全体の約79.4%)
• アッパーマス層:3,000万〜5,000万円未満(約576.5万世帯、10.3%)
• 準富裕層:5,000万〜1億円未満(約403.9万世帯、7.3%)
• 富裕層:1億〜5億円未満(約153.5万世帯、2.8%)
• 超富裕層:5億円以上(約11.8万世帯、0.2%)
実に全体の約8割が「マス層」と呼ばれる3,000万円未満の資産帯に集中しているのが現状です。
なぜ富裕層が増えているのか?
ここ10年間で、特に富裕層(1億円以上)以上の増加が顕著です。
主な要因:
• 株高・円安などマーケットの追い風
• NISAや確定拠出年金など制度を活用した資産形成
• 相続や贈与による資産移転
• 高所得サラリーマンによる長期投資
特に、投資信託や株式を一定割合保有していた人ほど、この10年間のマーケット環境で資産を増やしてきました。
逆に、マス層の多くは預貯金中心の保有構成で、金利がほぼゼロの状況では資産が増えにくいのが実情です。
「マス層」の特徴と課題
マス層(3,000万円未満)は日本の世帯の約8割を占める最大層です。
主な特徴:
• 金融資産の多くが預貯金中心
• 投資経験がない、または不安を感じている
• 長期的な資産形成を意識していない、または情報が少ない
この層にとって最も重要なのは、
「生活を守りながら、将来の備えをじっくりと築くこと」
預金だけに頼らず、少しずつ「資産が育つ環境」に自分を置いていく必要があります。
マス層からアッパーマス層へ。「ひとつ上」に上がる現実的なプラン
「いきなり1億円」と考えると遠すぎますが、3,000万円を超えるというのは決して夢ではありません。
ステップ1:家計の見直しと“貯められる体質”へ
• 支出の固定費(保険・通信・サブスク)を削減
• 家計簿アプリで可視化&振り返り
• まずは年間50〜100万円の貯蓄ペースを目指す
ステップ2:つみたて投資のスタート(NISAを活用)
• 年間120万円まで非課税で投資できる「つみたて投資枠」
• インデックスファンド(全世界株式、S&P500など)で“ほったらかし”でもOK
• 月3万円 × 20年 = 元本720万円 → 4%運用で約1,100万円に
ステップ3:昇給や副業収入の“増えた分”を運用へ
• ライフステージが上がったら支出も増える
• だからこそ、「増えた収入は貯蓄・運用に回す」ルールを自分で設定
ステップ4:まとまった余裕資金で“成長投資枠”も検討
• 新NISAの成長投資枠(240万円/年)を活用
• 個別株やETF、高配当株などへの分散投資
• リスク管理を前提に、少しずつチャレンジ
なぜ今「資産形成」が重要なのか?
• 年金だけでは足りない現実(老後2,000万円問題)
• インフレによる貨幣価値の低下
• 雇用の不安定化とライフプランの多様化
これからの時代、「守り」と「増やす」のバランスを取れる人こそが、“暮らしの安心”を手に入れられるのかもしれません。
まとめ|資産形成は「今から」「少しずつ」
たとえ現在マス層でも、資産形成は間違いなく人生を変える力があります。
• 月1万円からでも投資はできる
• 最初の目標は「3000万円突破」
• 習慣と環境を変えるだけで、未来が変わる
焦る必要はありませんが、“知っている人”と“知らない人”の差は確実に広がっています。
自分や家族の未来のために、今日から少しずつ始めてみませんか?
【参考リンク・出典】
この記事が「資産を考える」きっかけになれば嬉しいです。